最近営業に関する本を読んでいる。私の普段の仕事はほとんどデスクワークで、営業の経験もない。だが、今後事業を起こして運営していくには必須の知識だろうと思い、近くの図書館で数冊借りてきたのだ。
本を読んでみると、共通して言及されるような、営業における重要なポイントがあると感じた。今回はこれらのポイントについてまとめたい。
購買に至るまでのプロセスを意識する
人が商品を認知してから実際に購入に至るまでには、似通ったパターンがあるようだ。有名なのがAIDMA(アイドマ)で、これは購買に至るまでのAttention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の頭文字をとったものである。
私がピンときたのは、AIDMAをより現代的に発展させたAISCEAS(アイセアス)で、こちらは次の流れである。
- Attention(認知)
- Interest(興味)
- Search(検索)
- Compairsion(比較)
- Examination(検討)
- Action(行動・購入)
- Share(共有)
こちらには、検索、比較、検討、共有がある。実際に何かを買う時を想像すると、確かに比較サイトで値段やスペックを見て検討したり、実際に使ってみて良かったらSNSで発信したりするだろう。
重要なのは、この基本的なパターンを理解し、各段階ごとにアプローチを検討すべきということだ。例えば「検索」という部分については、商品の情報をまとめたウェブサイトが検索に引っかかるようにSEO対策を行い、見込み客が欲しい情報にたどり着けるようにしたり、「検討」という部分であれば、相手が不安に思っている部分を説明して買わない理由を消してあげたりするといった具合だ。見込み客の状態を細分化することで、より適切なアプローチを行うことができ、購入や共有にいたる割合を上げることができるのだろう。
見込み客にアプローチする
上述のとおり、商品を買ってもらうにはまず商品を認知してもらう必要がある。だがここで注意すべきなのは、闇雲にアプローチするべきではないということだ。
商品とは求める人に買ってもらうべきである。全く必要としていなかったり興味を持っていない人に対してアプローチしても先はないし、かえって商品や売り手のイメージを損なうだけである。
そこで、既に商品に興味がある「見込み客(リード)」にアプローチすることで、効果的かつ効率的に営業を進めることができる。見込み客としては、来店したことがある人やイベントに足を運んでくれた人などが挙げられる。この見込み客を顧客に昇華させるためにも、見込み客のリストを作って営業管理をしながら、個々に緻密にアプローチすることも重要とのことである。
商品の価値を伝える
人は商品を買う時、価格がその商品の価値と同等かそれ以上と感じない限りは購入しない。そのため、商品の価値をしっかりと伝える必要がある。どういった部分で他の商品との差異があり、どこにこだわっていて、どこが買い手にとってメリットとなる部分なのか、そういった情報を相手に伝えることで、価格に納得してもらうことができるだろう。
同様の意味で、安易に商品の値下げを行うべきではない。商品の本当の価値は値下げ後の価格なのではないかと疑念を抱かれない。また、「安さ」のみ重要視する人についても、手塩にかけて作り上げた商品の価値が理解される望みは薄く、ただ売り手が疲弊するだけであるため、無理に付き合う必要はない。
相手のことを考えることが一番大事
どの本でもこのことについて言及されていた。”良い営業”とは決して商品を一方的に売りつけることではなく、相手のことを第一に考えて寄り添うことで、相手の困りごとを把握し、その解決策を提案すること(これによって自社の商品を購入してもらい、利益につなげること)であるとのことだ。
相手の立場に立って考えながら丁寧に応対することで、相手に安心感や信頼感を持ってもらえる。また、こちらの好意や大切にしているという思いが伝われば、相手も売り手側に友好的になってくれるケースが増えるだろう。
こういったことによって、最終的に「このお店(会社)なら信頼できる、また利用してみよう」と思ってもらうことができ、リピーターやファンの獲得につながっていく。リピーターやファンが口コミを広げてくれることも期待できるだろう。こうして、相手を大切にする心意気が、ゆくゆくは利益として売り手側に還ってくるのである。
まとめ
本を読んでいて感じたのは、営業職に限らず、新しく会う人と良い関係を構築するような場面で広く使える考え方だということだ。結局のところ、営業は人付き合いである。人として大切なことが求められるという意味では、営業力とは人間力と言えるのかもしれない。
この内容を活用できるケースとして今私が想像するのは、楽器教室の生徒さん募集や、CD・レコードショップまたはECショップの作り込みの場面である。また、事業の検討や立ち上げに際して、協力者を募ったりアプローチしたりする場合にも重要だと思う。引き続き、様々なビジネス書を読み漁って知識の引き出しを増やしていきたい。
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